疲弊する地方経済にスポットを当て、その活性化に躍起になっている地方行政の姿を追ったTV番組があった。
地方自治体が独自のアイデアと自主性で企業誘致や雇用促進策を打ち出し、必死の改革を進めている。
そのなかで注目したのは、コールセンターの誘致だ。コールセンター、コンタクトセンターと呼び方は様々だが、大まかに言えば電話受付(発信)業務センターとでもいえよう。
企業の代行で業務を請け負うケース、自社でコールセンターを地方に持つケース、その対応は様々だ。
NHKで放映されたのは、地方の海岸部の町。若者の働く場所であった地元漁港はすでにかつての活気はなく、とくに深刻なのは地元で家族を養う若い世帯主である。
地元で働きたくても仕事がない。そこに振って沸いた話がコールセンターの誘致であった。今後、業務の拡大に伴いセンターの拡張もあるということで、町も全面協力し、センターを開設した。
そこには、応募で就職できた若者50人ほどが、なれぬ手付きで端末と格闘していた。
コールセンターと一言で言っても、そのサービスは様々である。
また、お客や顧客からのサービスの問合せやクレームの対応、受注、アンケート調査、商品の推奨、督促、未払い客への確認、そのサービスの内容や性格によってはある程度の経験を必要とされるばあいもある。
TVで映し出されたケースは、渡された契約者リストを基に電話をかけ、新しいサービスへの加入契約を勧めるというもの。
契約に結びついた担当者が、センター内のほかの社員から祝福を受けている。その姿はなんともほほえましいが、この契約一本とるまで何日もひたすら電話をかけまくる作業の連続なのだ。
朝から退社時まで、声だけの相手と向き合い、商品を勧める。これは見方によっては過酷な仕事である。
驚くべきはその給料の安さだ。設備費と人件費の低コスト化がウリの地方誘致と言ってしまえばそれまでだが、その格差は深刻だ。首都圏のコンビニで働く学生バイトよりも低いのだ。
家族を養うために、仕事をするある30代の男性の立場で思えば、背広を着てエアコン付のおしゃれなオフィスで仕事。と言えば快適そうに見えるが、結果が見えない、単調な作業と思えてくる。ストレスがないと言えばウソになろう。
同業の代行会社に聞けば離職率も高く、人の出入りが激しい職場だという。そのためか、都心でのパート代は通常スーパーのパートに比べれば、2倍以上だろう。
ひところ評判になった、悪質リフォーム業者の手口に「無料屋根診断商法」があった。玉石混合の業界であるだけに、まじめに営業活動している業者はいい迷惑だが、ずいぶん被害者が出た商法だ。
ある業者のやり口はこうだ。都内のある場所に、新聞広告で募集した電話部隊を集め、市販の電話帳データベースを使って電話をかけさせる。
内容は新素材で開発した屋根の販促活動の一環で、屋根の無料診断サービスをやっている。
実際に屋根に上り、ポロライド写真を撮り、家主に屋根の状態を説明する。しかし、そのほとんどが「このままだと雨漏りがひどくなり、老朽化する」「瓦が重くて地震に耐えられない」など、様々な問題点をでっちあげる。
診断士と称するこの人間は、直接その場で営業はしない。詳しい話は専門の人間がいるから話だけでも聞いてみたらと、言葉巧みにアポイントを取る。
次にやってくるのは、クローザーといういわゆる営業のプロである。一気に契約まで持ち込むのである。一度くらい付いたら契約を取るまで離れないのだ。
こうした営業活動は、詐欺と紙一重である。アポイント商法などと言われていた。この屋根診断のアポ取りに、パートの主婦やリストラで職探しが大変な中高年者層が、基本給+出来高払いのうたい文句に誘われてやってくるのだ。
これをコールセンターといっしょにするのはどうかと思うが、地方のコールセンターの現状を見ていると、こうしたケースと似て非なるものといいながらも、考えさせられる現実でもある。
まさにコールセンターの光と影である。今後ますます需要が高いコールセンターの役割だが、その一方ではコスト削減を強いられ、そのあおりを地方の行政や地元雇用対策が受けているとなれば深刻だ。
2006年05月15日
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